個人再生手続と自己破産手続のどちらを選ぶか
2016/11/15
任意整理に失敗した私達は各銀行の返済請求に応じられない場合は、個人再生手続か自己破産手続を選ぶしかありません。このまま何もしないでいると各銀行から損害賠償請求訴訟を提訴されることになりますから、そうなると給与を差し押さえられるかもしれません。
その前に、法的債務整理手続である個人再生手続か自己破産手続を選ばなければなりません。
個人再生手続と自己破産手続のどちらを選んだら良いのでしょうか?
個人再生手続も自己破産手続も裁判所を通じた法的債務整理手続であることに変わりはありません。
ただ、個人再生手続は裁判所に再生計画案を提出し再生計画が認可された場合、再生計画案に沿って債務を返済しなければなりません。
その再生計画案を立てるに当たり、個人再生手続には債務の大幅カットや住宅ローン付の自宅を残したままで債務整理できるというメリットがあります。
しかしながら、これらは再生計画案を最後まで守り債務を完済できると期待される債務者に対して、特別に与えられるメリットと考えなければなりません。
任意整理に失敗した私に、果たしてその様な信用力があるのでしょうか?
一方、自己破産手続は今後、債務の返済が全く見込めない債務者に対してだけ認められた最後の債務整理手続と言えます。勿論、個人再生手続も自己破産手続も裁判所を通じた法的債務整理手続ですから、公的なペナルティーがあることは同じです。
ただし、自己破産手続の公的なペナルティーは公民権の一時的な停止を含む厳しいものであるのに対して、個人再生手続の公的なペナルティーは官報に掲載される程度で決して厳しい内容ではありません。
つまり、個人再生手続を選ぶか自己破産手続を選ぶかの大きな分岐点は、銀行や金融業者などの債権者の債務者に対する信頼の有無なのです。
その意味から、任意整理に失敗した私には、もはや、各銀行からの信頼を望むのは無理でした。
私の場合は自己破産手続しかない?
最終的に山崎弁護士と面談して債務整理手続をどのように進めるのかを決めることにしました。
幸い任意整理の最終和解案を反故にして以降も山崎弁護士が各銀行との交渉を行ってくれましたので、私のところに直接銀行からの連絡はありませんでした。
ですので、任意整理に失敗した私ですが、以前の様に返済に追われる様な緊迫感がありません。
これも山崎弁護士に債務整理手続をお願いしたからだと感謝しています。2013年11月中旬のある日、私は山崎弁護士の事務所を久し振りに訪問しました。
山崎弁護士からは、もはや、民民の和解交渉である再度の任意整理交渉は無理であること、また、仮に個人再生手続を行ったとしても裁判所から再生計画が認可される可能性は低いことが説明されました。
山崎弁護士は敢えて自己破産手続には全く言及せず、私の覚悟を待っている感じでした。私もこの期に及んで自己破産手続は絶対に避けたいという気持ちはありませんでした。と言うのも、子会社に出向を命じられ1年で転籍させられた上に2度の減棒となっていることから、会社が私を必要としていないことはヒシヒシと伝わってきています。
つまり、既に40歳を超えた私は希望退職の候補者リストに載っていることが容易に想像できます。したがって、私が最後に悩むポイントは退職して退職金で残りの債務を返済するか、会社に何とか踏みとどまって自己破産して出直すかということでした。
ただ、自己破産しても会社に残れるのかがハッキリしないポイントだったことと、正社員の立場を投げ打って退職したところで果たして退職金がいくら貰えるのかもハッキリしていませんでした。
というのも、何年か前に退職時に退職金を現金で受け取るか年金で受け取るかの選択があり、私は退職金の大半を年金で受け取る選択をしたからでした。
その最初の疑問に対して山崎弁護士曰く「自己破産を理由に会社が社員を解雇することはできません。また、そもそも、自己破産したことを会社に報告する義務もありません」、「ただし、官報などで会社が社員の自己破産を知った場合の対応は保証できませんが」とのことでした。